2025年7月マーケットサマリー:米株・日本株・ビットコイン・ドル円
2025年7月は、6月に引き続き株式市場が米国・日本とも堅調に推移し、暗号資産ビットコインも史上最高値を更新するなどリスク資産全般に強さが目立ちました。筆者のポートフォリオも円安の追い風もあり約+7.5%と大きく上昇し、嬉しい展開となりました。一方で月末から月初にかけてはやや波乱含みの動きも見られ、8月1日発表の米国雇用統計で雇用者数が下方修正された影響から米国市場が急落する場面もありました。それでも総じて7月相場はAIブームの勢いが続き、投資家のリスク選好ムードが継続した印象です。それでは、US米国株、日本株、₿暗号通貨(ビットコイン)、💱円為替の順に7月の市場動向を振り返ってみましょう。
US米国株式市場
米国株式市場は7月も底堅く推移しました。S&P500種株価指数は月間で前月比+2.17%、ナスダック総合指数は**+3.7%と3か月連続で上昇し、ダウ平均もわずかながら+0.08%とプラスを維持しています。特にハイテク株中心の上昇が顕著で、S&P500指数は7月だけで過去最高値を11回も更新し、生成AI(人工知能)ブームを追い風にエヌビディアの時価総額が世界首位に躍り出るなど、米国株が再び世界市場をリードする展開でした。主要株価指数であるSPY(S&P500連動)やQQQ(ナスダック100連動)も揃って年初来最高値を塗り替え、7月下旬にはS&P500が6388ポイント前後(過去最高)に達する場面も見られました。まさに「AI革命×製造業ルネッサンス」の期待に沸いた強気相場**が月間を通して続いた格好です。
こうした米株高を支えた背景には、生成AIブームによる巨大ハイテク企業の好調な決算が相次いだことがあります。例えばマイクロソフト株は7月末に時価総額4兆ドルを一時突破、メタ(旧フェイスブック)は決算でAI広告好調を示し11%急騰して上場来高値を更新しました。一方で半導体セクターでは利益確定の売りも出てフィラデルフィア半導体指数が7月31日に-3.1%の急落となるなど、業種間で明暗も分かれ始めた点は注意が必要です。月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げ見送りが表明され、パウエルFRB議長の発言を受けて早期利下げ期待が後退したことからダウ平均とS&P500種は7月最終盤に反落する場面もありました。さらに翌8月1日には、発表された7月米雇用統計で非農業部門雇用者数の増加が予想を大きく下回り、過去2カ月分も下方修正されたとの報を受けて市場にショックが走り、トランプ米大統領による対中相互関税の発動も重なってダウ平均は-542ドル安の急落となりました(ナスダック総合指数も-2%以上の下落)。この雇用統計を受けて米国の年内利下げ観測が一気に高まり、8月以降の相場変動要因として意識される形となっています。総じて7月の米国株は「AI景気」に支えられた強さが目立ちましたが、月末以降にかけて経済指標次第で波乱も起こり得る**ことを示唆する展開となりました。
JP日本株式市場
2025年7月の日経平均株価の推移。7月は約+1.43%と4カ月連続の上昇となり、月末終値で初めて4万1000円台を付けました。24日には一時4万1826円(約1年ぶりの高値)まで上昇しています。
日本株市場も7月は総じて堅調地合いを維持しました。日経平均株価は月間で前月比+1.43%と4カ月連続の上昇を記録し、7月末の終値4万1069円82銭は月間終値ベースで史上初の4万1000円台乗せとなっています。6月に比べ上昇率自体は小幅ながら、年初からの上昇トレンドが継続して高値圏を維持した形です。生成AI需要を追い風にした半導体関連などハイテク大型株の上昇が引き続き東京市場をけん引し、ドル円相場の円安傾向(輸出企業の採算改善期待)も日本株の支援材料となりました。実際、7月24日には日米通商協議がまとまり関税引き上げ懸念が後退したとの報道を好感して買いが集まり、日経平均は一時4万1826円と約1年ぶりの高値水準まで上昇しています。また月末(7月30~31日)の日本銀行金融政策決定会合では市場予想通り金融緩和の現状維持が決定され、サプライズがなかった安心感から7月31日の日経平均は前日比+415円(+1.02%)高と急反発し、終値で再び4万1000円台を回復しました。
もっとも、月間を通した日本株上昇ペースは6月までよりやや鈍化し、中旬には上値の重さも目立ちました。7月20日に投開票された参議院選挙の結果を巡る不透明感や、米国の高関税政策強化による世界景気減速懸念が意識され、14日には日経平均の月間安値となる3万9459円まで下落する場面もあったほどです。それでも下旬にかけてはそうした懸念が和らぎ、先述の通商交渉進展や企業好決算を追い風に持ち直しました。実際、7月は世界の主要8株価指数がすべて上昇し、米国の関税問題による景気冷却懸念が後退したことがグローバルなリスクオン環境を支えました。中でも上昇率トップは英FTSE100指数(+4.24%)で、日経平均の月間上昇率+1.43%は8指数中6位という位置づけでした。6月の日本株は世界的にも突出した上昇(いわゆる「独歩高」)となりましたが、7月は海外株式の巻き返しもあり相対的には落ち着いた上昇率となっています。それでも日経平均は年初来で+30%超の上昇を維持しており(主要指数でトップクラス)、日本株の強さと底堅さは依然際立っていると言えるでしょう。
₿暗号通貨市場(ビットコイン)
7月のビットコイン(BTC)相場は、引き続き強烈な強気相場が継続しました。月初から高値圏を維持していたビットコインは、7月14日に史上初めて1BTC=12万ドルを突破し過去最高値を更新し、その後も11万ドル台後半という高値圏で価格発見が続く展開となっています。月末時点でも1BTC=約11万5000ドル(1700万円台)と史上最高値圏で推移しており、7月も前月比で陽線を描いて4カ月連続の月間上昇を記録しました。6月に見られた中東地政学リスクによる一時的な急落のような局面も7月は目立たず、ビットコインは終始過去最高値圏で安定的に推移した印象です。
ビットコインがこれほどまで強含みとなった背景には、引き続き旺盛な投資家需要が存在します。例えば大口投資家(クジラ)と呼ばれる1000BTC以上の保有者数が7月下旬に今年最高水準に達したとのオンチェーンデータも報告されており、機関投資家から個人投資家まで幅広い層がビットコインを積極的に買い増している状況です。実際、米企業マイクロストラテジー社による巨額のBTC追加購入(6月末に約5000BTC)や、米資産運用大手ブラックロックの現物ビットコインETF承認申請の進展などが伝わり、市場には「暗号資産の黄金時代」が到来しつつあるとの見方も広がっています。さらに、7月は米ドルが主要通貨に対して下落基調を強め、ドル指数(DXY)が年初の110から98台まで低下するドル安局面となったこともビットコイン価格を押し上げる要因となりました。一般にドル安になると株式や暗号資産などのリスク資産に資金が向かいやすく、7月のビットコイン急騰はこのドル安の影響を色濃く反映しているとの指摘もあります。総じて、7月の暗号資産市場、とりわけビットコインは史上最高値を更新する強烈な強気相場となり、市場参加者のセンチメントも極めて強気に傾いた月でした。
💱円為替市場(ドル/円)
7月のドル/円相場は円安トレンドが鮮明となった月でした。月初は1ドル=144円前後で推移していたドル/円は、徐々に水準を切り上げて中旬には147~148円台に乗せ、月末には一時150円台をつける場面も見られました。背景には、日米金利差拡大への思惑や国内政治要因があります。7月中旬にかけて日本では参院選(上院選挙)の結果を受けた将来的な財政拡張懸念から日本国債が売られ金利上昇圧力が高まったほか、その影響で円売り(ドル買い)圧力も強まったとの指摘があります。一方で米国側でも、トランプ政権による関税政策への警戒からインフレ懸念がくすぶり米金利が高止まりしたことや、欧米中央銀行が金融引き締め停止に転じる中でも日本銀行は緩和維持を続けたことで、相対的に低金利の円を売って高金利通貨を買う動き(円キャリートレード)が促進された面があります。実際、日銀は7月末の会合で物価見通しを若干上方修正して将来の利上げ再開に含みを持たせたものの、現時点では利上げ開始のタイミングがまだ先になるとの印象が強く、円買い材料にはなりませんでした。むしろ国内政局の先行き不透明感もあり、短期的には**「円売り優勢」の地合いが続く**との見方が広がっていました。
月末時点ではドル高・円安圧力がピークに達し、8月1日未明(日本時間)にはドル/円が一時1ドル=150.91円と今年3月末以来の円安水準を付ける場面もありました。しかし、前述の米国雇用統計サプライズで米長期金利が急低下するとドルも急落し、同日終盤には147円台後半まで一気に円高方向へ巻き戻す荒い値動きとなりました。最終的に7月末のドル円レートは1ドル=147円前後となり、月初(144円台)から見ると円の対ドル価値は約2%下落(円安)して引けています。6月のドル/円相場が142~145円のレンジ内で方向感に欠ける推移だったのに対し、7月は明確にドル高・円安方向へブレイクアウトした月となりました。もっとも8月に入ると米金融政策見通しの急変など外部要因で上下に振らされる展開も予想され、為替相場も引き続き予断を許しません。総じて7月の円相場は、内外金利差と政策スタンスの違いを映して一段と円安が進行した月であり、円安進行が日本株や筆者ポートフォリオの評価額押し上げにも寄与したと言えるでしょう。
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