8月の資産推移

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2025年8月マーケットサマリー:米株・日本株・ビットコイン・ドル円

2025年8月は、7月までの力強いリスク資産ラリーが一服しつつも全体として堅調さを維持した月でした。米国・日本の株式市場は月間でそろって上昇基調を保ち、米S&P500種株価指数や日経平均株価が史上最高値を更新する場面も見られました。一方で月初と月末にかけて相場の波乱要因が現れ、生成AIブームによる強気ムードと、米金融政策を巡る思惑や通商リスクによる不安感とが綱引きする展開となっています。筆者のポートフォリオは、最近のやや低調なBitCoin市場環境や米国個別株の組み換えそして若干の円高の影響もあり約-2.75%程度の小幅減少で8月を終えました。7月に比べると伸び悩んだものの、リスク資産全般の底堅さに支えられたため下落幅は限定的でした。それでは、US米国株、日本株、₿暗号通貨(ビットコイン)、💱円為替の順に8月の市場動向を振り返ってみましょう。

US米国株式市場

8月の米国株式市場は序盤に急落・中旬以降盛り返しという流れになりました。月初の8月1日には、トランプ大統領が主要貿易相手国への相互関税を発動する大統領令に署名したことや、発表された7月米雇用統計で非農業部門雇用者数の増加が予想(11万人)を大きく下回る7万3千人にとどまり過去2カ月分も下方修正されたことから景気減速懸念が一気に高まり、ダウ平均は-542ドル安の急落となりましたjp.reuters.com(ナスダック総合指数も-2%以上の下落)。この雇用統計を受けて米連邦準備理事会(FRB)が9月会合で利下げ再開に踏み切るとの観測が急速に台頭し、利下げ織り込み確率は前日の約38%から86.5%に急上昇しましたjp.reuters.com。しかし弱い経済指標=金融緩和期待という図式から投資家のリスク選好ムードはすぐに戻り、8月上旬以降は堅調な経済指標(例えば7-9月期GDP改定値が年率+3.3%へ上方修正note.com)や好調な企業決算も手伝って株価は持ち直しに転じました

月間を通じて見ると主要株価指数はそろって上昇しています。S&P500種指数は月間で前月比**+1.91%の上昇、ダウ平均は+3.20%と4カ月連続の続伸、ナスダック総合指数も+1.58%高で5カ月連続上昇となりましたoanda.jp。特にS&P500種は8月下旬に初めて6500ポイント台を突破する場面があり、NYダウ工業株30種平均も同時に史上最高値を更新する展開となっていますoanda.jpnote.com。生成AI(人工知能)ブームに支えられた巨大ハイテク株中心の強気相場が基本的に継続し、マイクロソフトやグーグルといった主力株の堅調決算を背景にS&P500とダウ平均は月末まで最高値圏で推移しましたnote.com。ただし相場全体が一本調子で上がり続けたわけではなく、ハイテク大型株の中でも明暗が分かれる動きが見られています。例えば、AI半導体の雄エヌビディア(NVDA)は8月下旬発表の決算でデータセンター売上高が市場予想をわずかに下回ったことや、中国向け輸出規制リスクも嫌気されて決算後に株価調整局面となり、月末には中国アリババが独自の高性能半導体を開発中との報道でエヌビディア株が3%超急落する場面もありましたoanda.jp。一方でクラウド銘柄のスノーフレークは好決算で+20%超の急騰となりnote.com、テスラ(TSLA)は欧州販売台数減少に伴い-1%下落するなどnote.com、セクターや個別で強弱が混在する展開です。月末にはトランプ政権による追加関税リスクもくすぶり、トランプ大統領が小額輸入品の関税免除撤廃に署名したことで通販大手EtsyやeBay株が急落したほかnote.com、建機大手キャタピラーは対中関税のコスト増(年間15~18億ドルの損失可能性)を公表して株価が-3%以上下落するなどoanda.jp、通商政策を巡る警戒感も散見されました。それでも総じて8月の米株相場は堅調な企業業績と早期利下げ期待を追い風に高値圏を維持した**印象であり、投資家は「AI需要の成長余地」と「通商・政治リスクやインフレ動向」の綱引きを意識しながらもリスク資産への資金配分を続けた月でしたnote.com

JP日本株式市場

2025年8月の日経平均株価の推移。8月は前月比+約4%上昇し、5カ月連続の月間上昇となりました。7月末終値4万1069円からさらに上昇して、8月18日には一時4万3,714円とバブル期も含め史上最高値に迫る水準(初の4万4000円目前)を記録していますnomura.co.jp。8月前半から中旬にかけて日本株は非常に強い値動きとなり、日経平均は8月4日以降一度も4万円を割り込まず高値圏で推移しましたnews.tv-asahi.co.jp。特に8月12日には日経平均終値が4万2718円(+897円の大幅高)となり、約1年1カ月ぶりに過去最高値を更新するなど連日で史上最高値を塗り替える展開となりましたnews.tv-asahi.co.jp。東京市場をけん引したのは引き続き生成AI関連需要を追い風に業績期待が高まるハイテク・半導体株であり、ソニーやトヨタなど主力株の好決算発表も相次いだことで海外投資家の日本株買いが続きました。また為替相場で円安基調(後述)が根強かったことも輸出株の採算改善期待につながる追い風となり、日本株の強さを支える要因となりました。

もっとも8月下旬には日本株にもやや上値の重さが見られ、高値警戒感から利益確定売りが優勢となる局面も出現しました。実際、8月後半には世界的な株価調整や暗号資産市場の急落に連れる形で日経平均も一時4万2千円割れ目前まで下押す場面があり、8月29日終値は4万2718円と月中高値(4万3千台)からやや低下して8月の取引を終えていますnews.tv-asahi.co.jp。それでも月間ベースでは+4%前後の上昇を確保し、これで日経平均は5カ月連続の上昇となりましたnews.tv-asahi.co.jp。7月までの独歩高から一転、8月は欧米株も含め主要市場が揃って上昇したため日本株の相対的な上昇率は突出してはいませんが、それでも年初来では日経平均が+約35%高と主要国でトップクラスの上昇率を維持しており、日本株の強靭さは依然目立っています。市場関係者からも「トランプ関税の日本企業への影響は今のところ限定的で、やや楽観ムードが強いがバブル的な過熱には至っていない」との指摘が聞かれる状況ですnews.tv-asahi.co.jp。9月以降については、FRBの利下げ開始時期や日銀の金融政策修正観測などがリスクオン継続のカギを握るとの見方があり、経済指標次第では日本株も上下に振れる可能性があるものの、8月時点では企業収益拡大期待と旺盛な海外マネー流入を背景に日本株は高値圏で堅調さを保ったと言えるでしょう。

₿暗号通貨市場(ビットコイン)

8月の暗号資産市場は、前半の強烈な上昇と後半の急落というジェットコースター的な値動きとなりました。最大の暗号通貨ビットコイン(BTC)は7月末までの上昇基調を引き継ぎ、8月半ばまで強気相場が継続。8月14日には1BTC=12万4002ドル(約1830万円)を付け、7月のピーク(約12万ドル)を上回って過去最高値を更新しましたjp.reuters.comjp.reuters.com。背景には、米FRBの金融緩和期待の高まりや**トランプ米大統領による年金資産での暗号資産投資を促す大統領令署名(8月7日)**といったポジティブ材料が相次ぎ、投資家のリスク選好が復活したことがありますjbpress.ismedia.jpjp.reuters.com。実際、株式市場が連日史上最高値を更新する中でビットコインも史上最高値圏に突入し、「暗号資産の黄金時代到来」との声も聞かれました。

しかし月後半に入ると暗号資産市場は突如乱高下し始めます。8月下旬、米国のインフレ指標発表や金融政策イベント(日米ジャクソンホール会合など)を契機にビットコインは反落に転じ、わずか数日のうちに史上最高値から約11%以上急落する局面が見られましたcoindeskjapan.com。8月24~25日にかけて特に下げがきつく、一時1BTC=11万ドル台前半まで急落して7週間ぶりの安値水準となりましたcoindeskjapan.com。この急落局面では、大口投資家(クジラ)による2万4千BTCもの巨額売却が確認され、その結果暗号資産デリバティブ市場で約7億ドル(約1000億円)ものポジションが清算(ロスカット)される連鎖も起きていますcoindeskjapan.comcoindeskjapan.com。清算の大半(約6億2700万ドル)は価格上昇を見込んだロングポジションで占められており、レバレッジをかけた強気投資家が一斉に投げさせられた状況ですcoindeskjapan.com。またビットコインと同時に主要アルトコインにも売り圧力が波及し、イーサリアム(ETH)は1日で-8%近く急落して一時4400ドル割れ、ソラナ(SOL)やドージコイン(DOGE)なども軒並み5~8%の急落となりましたcoindeskjapan.com。月初からの強烈な上昇に対するテクニカルな調整売りと、依然根強いインフレへの警戒感から**「夏枯れ相場」のアノマリー通りに8月の暗号資産市場は上値の重い展開**に変化した形ですcoindeskjapan.com

月末時点ではビットコイン価格は1BTC=11万ドル前後と史上最高値圏からはやや後退しましたが、それでも年初来では大幅高を維持しており強気相場の土台自体は崩れていないとの見方もあります。8月単月で見ればビットコインはわずかながら下落となり、4カ月続いていた月足ベースの連騰が一服する結果となりました。それでも、米ドルが8月に主要通貨バスケットに対して約2%下落した(=ドル安)ことjp.reuters.comや米国で現物ビットコインETF(上場投資信託)の承認期待が高まったことなどが引き続き支援材料となり、調整局面でも下値では機関投資家や長期保有者とみられる買いが厚い状況ですyellow.com。足元では市場マインドに過熱感が出ていた分のガス抜きが起きたとの指摘もあり、9月以降の「ビットコイン秋相場」に向けて再び仕切り直しの様相を呈した8月後半でした。

💱円為替市場(ドル/円)

8月のドル/円相場は円安の極致から急速な円高戻し、その後レンジ推移という流れでした。月初、ドル/円は1ドル=150円台後半と約4カ月ぶりの円安水準でスタートしましたがnli-research.co.jp、前述の通り8月1日に発表された米雇用統計の大幅下振れとFRB利下げ観測浮上を受けわずか数日で147円前後まで急速に円高が進行しましたnli-research.co.jp。8月5日には一時146円台まで値が切り下がり、日米金利差縮小観測によるドル売り・円買いが集中しましたnli-research.co.jp。その後中旬にかけては方向感に欠けるレンジ相場となり、米追加利下げ開始時期を見極めたいとの思惑から様子見気分が広がりましたnli-research.co.jp。米インフレ指標を受けた米長期金利上昇局面では一時ドル買いが優勢となり円相場が148円台まで押し戻される場面があった一方、トランプ政権によるFRBへの圧力強化(追加利下げ要求)でドルが弱含む局面もあり、結局146~149円の範囲内で行ったり来たりの展開となっていますnli-research.co.jp

月末時点のドル/円レートはおおむね1ドル=147円前後で、月初の150円超え水準から見ると円の対ドル価値は約2.5%上昇(円高)しましたjp.reuters.com。これは昨年来続いた円安トレンドに8月は一服感が出たことを意味します。米ドル自体が8月に主要通貨に対して平均2%下落した(利下げ織り込みによるドル安)ことjp.reuters.comに加え、日本銀行が7月末に長期金利許容幅を若干拡大する金融調整を行ったものの依然超低金利政策を維持したことから、日米金利差縮小を見越したポジション調整の円買いが月初に進んだと考えられます。もっとも、その後は欧米株高に伴うリスク選好の円売り(=ドル買い)圧力も根強く、8月下旬に米ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長がハト派寄りの講演を行った際には一時146円台まで再度円高が進行したもののcoindeskjapan.com、月末にかけては早期利下げ観測と米追加関税リスクが交錯する中でドル/円も方向感を欠く展開となりましたnli-research.co.jp。9月には日銀金融政策決定会合も控えており、為替市場では「次は日銀がサプライズを出すか」に注目が集まっています。総じて8月の円相場は3月以来の円安ピーク(150円超)から反転し、高止まりしていたドル高・円安基調にブレーキがかかった月でした。7月まで円安がポートフォリオ評価額押し上げの追い風となっていたのに対し、8月はこの円高進行がやや向かい風となり、筆者ポートフォリオの円建て評価も若干ながら目減りする結果となっています。それでも、依然として1ドル=147円前後と歴史的な円安水準にあることには変わりなく、日本株高に繋がる企業業績改善効果為替ヘッジ利益などポジティブ面も残るため、円安メリット・デメリットをにらんだ運用を引き続き心掛けたいところです。

(出典) jp.reuters.comjp.reuters.comnote.comoanda.jpoanda.jpnote.comoanda.jpnote.comnote.comnote.comoanda.jpnote.comnomura.co.jpnews.tv-asahi.co.jpnews.tv-asahi.co.jpnews.tv-asahi.co.jpjp.reuters.comjp.reuters.comjbpress.ismedia.jpjp.reuters.comcoindeskjapan.comcoindeskjapan.comcoindeskjapan.comcoindeskjapan.comcoindeskjapan.comcoindeskjapan.comjp.reuters.comyellow.comnli-research.co.jpjp.reuters.comjp.reuters.comcoindeskjapan.comnli-research.co.jp

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